オルゴールは時計と深い縁があります。オルゴールの原点は、時を告げる鐘の音であったことに始まります。
そして、音楽を何時でも好きなときに好きな場所で聴きたい、素晴らしい音楽を一人占めしたいという、夢の
産物であり、オルゴールのたどった道は、現代の音楽流通の形の原点でもあるように思えます。
オルガンの語源について教えていただけますか? 紀元前400年頃、ギリシャ人とローマ人によって使われていた言葉に、オルガヌム
(Organum)やオルガノン(Organon)があり、これは「機械的に風を送る機具」、
「弦が沢山ある機具」という管楽器や弦楽器など全ての楽器(音を出す機具)を含め
た言葉として広義に使われていたようです。
古代ギリシャには、現在私たちが認識しているオルガンの原形が存在していたことは
明らかなようですが、その「風を送り音を鳴らす機具」が実際オルガヌムやオルガノ
ンと呼ばれていたのかは様々な説があり断定できていません。
しかしながら、古代ギリシャに「オルガン」の語源があることには間違いないようで
す。 バレルタイプの自動オルガンの起源はいつ頃なのでしょう? 自動演奏のオルガンは人間が演奏するオルガンの後に派生したものと誤解されがちで
すが、実際には同時期に発展してきたようです。
そして、水力、分銅、ゼンマイ、手廻し、電気モーターと動力の移り変わりはあった
にせよ、楽譜の記録方法はその発祥から19世紀末までの長い間シリンダー(バレル)
が用いられてきました。
バレルオルガンに関する最初の文献は、紀元前135年頃アレクサンドリアの数学者で
発明家でもあったステシビオスの著作の中に、シリンダーで操作する自動演奏のオル
ガンが描写されています。このオルガンは聖書にも登場し、旧約聖書の創世記4:21、
ヨブ30:31、詩編150:4に言及がみられます。 安土桃山時代に日本に始めて渡ったとされるオルガンを推測していただけますか? 中世の中頃から、中央ヨーロッパは自動機械、時計、オルガン、自動楽器の中心とし
て栄え、ボヘミアを「ヨーロッパの芸術学院」と呼んでいるほどでした。
ドイツのブラックフォレスト地方は多くの優れた時計職人と自動オルガン職人が住ん
でいた地域として世界的に有名であり、アウグスブルグには1500年頃、時計仕掛けで
自動演奏するハープシコードを製作したバイダーマン一族をはじめ多くの職人がいました。
また、1359年から1780年にかけて、同じくドイツのザクセン地方にも200人以上の
オルガン職人が住んでおり、
この時期には自動オルガン製作のためのドイツ人学校が創立され、この頃から、より
低風圧で演奏されるまろやかで豊かな音色のオルガン製造へと移行してゆきます。
この時代に製作されていた自動オルガンとはどんなものだったのかを知ることが、安
土桃山時代のオルガンを推測する手がかりになると思います。 そうですか。
では、1800年代に楽師によって盛んに演奏され、庶民に音楽
が広まったとされるストリートオルガンはどんなものだったのでしょう? 1800年代はバレル式ストリートオルガンの時代でした。イタリアがその起源ではない
かとされているストリートオルガンは、イタリアを襲った大恐慌を境にフランスやド
イツにその製作拠点を移します。(フランスやドイツのオルガン製造会社にイタリア
名が多いのはこのためです)そして、主にフランスやドイツで
製造されたストリートオルガンは、19世紀中頃まではヨー
ロッパ各地を旅して周るストリートミュージシャン(辻音楽師)や、物乞いの人たち、
戦争などで体が不自由になった人などが主に使っていましたが、各種フェアでの需要
が増すにつれ徐々に興行師の顧客へと移っていきます。
バレルシステムのストリートオルガンは大別して3種類あります。 ストリートオルガンの周りに人々が集う様子が
連想されますね。 ストリートオルガンは演奏しても聴いても楽しいものですが、ストリートオルガンの
庶民の中で使われ発展してきた特異な歴史を知ると、下手な小説よりも面白く一層興
味が湧くと思います。 バレル式からパンチカードやロールペーパーなどのブック
式になってからの1900年以降のオルガンについてもいくつか種類があるようですが? ミュージカルボックスは参考図書が洋書、和書ありますので、正しく認識されて
いますが、自動演奏のオルガンについては参考書が極めて少なく尚且つ、その機
構とそれぞれの音色についてある程度把握していないとオルガン分類について理
解できないという難しさをもっています。したがって、オルゴールの専門家であ
っても単にオルガンの大小だけで分類してしまうことがよくあります。 なるほど、大きいものをフェアオルガン、小さなものをストリートオルガンと
いう簡単な区別では分けられないのですね。 そう、例えばブック式自動演奏のオルガンの分類は次の通りです。(室内用オルガンは含まれません) なるほど、奥の深いものですね。 オルガンのことを多く知ることで、より多くのファンや興味を持たれる方が増える
きっかけになれば幸いです。 たいへん興味深いお話、どうもありがとうございました。 お話 松本 尚登 氏
いわゆる自動機械(オートマータ)「Automata」はギリシャ時代からの人間の夢であり、人々は
その具体化に古くから取り組み、これをもう一つの夢である”身近に美しい音楽を置きたい”と言う願望と
結びつけた結果、様々な自動演奏装置へと発展し、あるものはからくり人形と融合し自動人形(オートマータ
ドール)になったり、ピアノやオルガンなどの確立した楽器の自動演奏がなされたり、この二つの夢はまさに
結実したといえます。そしてまた、そうした自動演奏装置の一端であるオルゴールの起源となったカリヨンを
見ても大変興味深い事がわかるのです。 自動的にメロディを発音するもの」 (社団法人日本オルゴール協会 定義による) |
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